暁現象

糖尿病になると、朝方に高血糖になってしまう「暁現象」が起こります。とくに3〜4時と現象がおこる時間が決まっている不思議な現象です。その原因や対策方法をまとめました。

血糖値が朝方に上昇する暁現象

暁現象とは、糖尿病の治療を受けている人に多く見られる、朝方に血糖値が著しく上がってしまう症状の名称です。

「暁」とは夜明けの頃のこと。時間帯でいえば3〜4時ぐらいのことを指していて、この時間帯特有の症状であることから命名されました。

3〜4時は血糖値が上昇し始める時間帯です。

糖尿病患者だけに関わらず、すべての人の血糖値がこの時間になると上昇します。これには成長ホルモンが関係しています。

成長ホルモンは子どもの頃は代謝に加えて骨を伸ばしたり、筋肉などを発達させますが、成人になると代謝を促すことのみを行います。

成長ホルモンは脳から指令を受けて下垂体から分泌されますが、その時間帯が3〜4時頃と考えられています。

成長ホルモンが分泌されるとインスリンの働きは阻害されるので血糖値は上昇します。

健常者であれば4〜8時頃にインスリンの分泌量が増えることで血糖値の上昇がおさまるところ、とくにインスリン依存型の糖尿病の人は、インスリンの効き目が切れてくる時間帯と重なることからさらに血糖値が上昇してしまいます。

暁現象の特徴

3時から4時くらいに血糖値が著しく上がる現象を暁現象と呼ぶのですが、毎日全く同じ生活をし、同じものを食べていたとしても日によって翌朝の血糖値は違います。これはその日に分泌される成長ホルモン量の違いによる影響が大きいです。 つまり、日によってひどい低血糖になることもあれば、ほとんど低血糖の症状が見られない場合もあるため、常に注意しておかなければなりません。

ソモジー効果との見分け方

寝る前に血糖値をしっかり測定している方も多いでしょう。例えば、寝る前の血糖値は140くらいなのに、朝起きると230になっており、「寝る前に血糖値を測ってから朝起きるまでの間に何も食べていないのになぜ血糖値が上がるの?」と疑問に思っている方もいるはず。 このように、朝起きた時に血糖値が高く、病院で相談をしたところ暁現象ではないかと言われる方もいます。ですが、起床時の血糖値が高い原因として他にも考えられることが…。

その一つがソモジー効果です。ソモジーとはこの現象の発見者であるマイケル・ソモジー博士から名付けられたものなのですが、暁現象とは少し仕組みが異なり、低血糖が起きた後にその反動で血糖値が上昇する現象のことをいいます。 寝ている間に低血糖状態になった場合、その状態を危険だと判断した体内では血糖値を上げるためのホルモンが分泌され、これによって朝方の血糖値が高くなるのです。

こちらも朝方に血糖値が高くなるという意味では同じなので、自分の場合は暁現象が原因で血糖値が高いのか?それともソモジー効果なのか?と判断がつかない方もいるかもしれません。 どちらが原因となっているのかを知るためには、深夜3時頃に血糖値を測定してみるとわかりやすいです。この頃の時間帯に低血糖状態にないのであれば暁現象、低血糖であればソモジー効果によって血糖値が下がっていると判断できます。

毎日夜中の3時に起きて血糖値を測る必要はありません。1ヶ月に一度程度で良いのでチェックしてみましょう。この時のポイントは、血糖値の変動が大きい日に測定をしても正しいデータが得られないことがあるため、寝る前の血糖値が安定している時に行うこと。 具体的には100~180くらいの間で安定している時に確認してみてくださいね。

朝方高血糖の原因がソモジー効果にあるにもかかわらず、暁現象を抑えるために寝る前のインスリンを増やすと、ソモジー効果を引き起こす夜間低血糖が強くなり逆効果になってしまう恐れもあります。自分の場合はどちらか判断ができないのであれば医師に相談してみましょう。

暁現象の対策は?

暁現象は以前は寝る前のインスリンの量を増やすことで対処しましたが、就寝中に低血糖を起こすリスクが増えるため、寝る前に少し補食を行うといった対策が取られてきました。

現在は、寝る前に持続性のあるインスリンを注射したり、夕食の炭水化物を減らすといった対策が取られています。

暁現象は、正常に自前のインスリンが分泌される人であれば起こりません。しかし糖尿病になってしまうと朝の血糖値が下がらなくなり、血糖値のコントロールが難しくなってしまいます。

糖尿予備軍にいる人は暁現象が起こらないよう、糖尿病を発症する前の段階で食い止めることが大切です。他に2型糖尿病の場合は肝臓からブドウ糖の放出を抑えるためにメトホルミンを服用する方法も挙げられます。1型糖尿病の子供に暁現象がみられる場合はインスリンであるNPHのピークを血糖値の高い時間帯に合わせるなどの対策があるので、医師と相談しながら最も効果的な対策を取り入れましょう。

夜間は寝ている間ということもあり、頻繁に血糖値を測るわけにはいきません。夜布団に入って眠りについてから朝起きるまでの間に自分の体の中でどのように血糖値が変化しているのかは正確には把握できませんよね。 そのため、寝る前の血糖値と朝の血糖値を計り、血糖値コントロールがうまくいっているのか確認しておくことは非常に重要です。

定期的に夜中3時頃の血糖値を測定しておけば、朝に自分の血糖値が高くなる原因を判断しやすくなるのでぜひ行ってみましょう。 1日の間で血糖値が大きく動くと血糖コントロールもしにくくなるため、状態を安定させるのが難しくなります。寝ている間に、血糖値の高い状態が続くとそれだけ長時間体へ負担をかけていることにもなるので、暁現象が起きている場合は適切な対処法を取ってくださいね。

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